400℃以上の高温で使える新しい素子を開発
:産業技術総合研究所

  (独)産業技術総合研究所は8日、ルテニウムとダイヤモンドを組み合わせ、400ºC以上の高温で長時間動作するパワーデバイス用のダイオード整流素子を開発したと発表した。
  ダイオード整流素子は、電流を一定方向にだけ流す電子素子。従来、ダイオード整流素子の電極は、高温での長時間使用に耐えられなかったが、新たな電極材料を探索した結果、ルテニウムが耐熱性、低抵抗、密着性、ショットキー接合という4つの課題を同時にクリアできる優れた特性を持っていること、さらに高温でも全く変化しないことを見いだした。
  同研究所は、ルテニウムを用いた電極(ショットキー電極)をダイヤモンド基板と組み合わせた2mm角の新規ダイオード整流素子を試作し、400ºCで1500時間、500ºCで250時間それぞれ動作試験を行ったところ、全く劣化のないことを確認した。これらの試験結果から、自己発熱温度レベル(200ºC~250ºC)では全く冷却せずに数十年にわたって動作させることが可能と見ている。
  実用パワーデバイスにするためには、大電流が流せる1cm角級のデバイスを実現する必要がある。このため、引き続き大面積化の研究に取り組む。また、今回開発したのはショットキー型のダイオード整流素子だが、トランジスタ素子についても、並行して研究を進め、冷却が必要ない省エネルギー型パワーデバイスの実現を目指す。

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試作したダイオード整流素子(提供:産業技術総合研究所)