使用済電子機器から希少金属を回収する簡便な方法を開発
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は11月26日、使用済電子機器から希少金属を回収する小型分散処理に適した簡便な手法を開発したと発表した。
 ボールミルの粉砕能力と粉砕特性を活用したもので、数cm角程度に粗く破砕した電子機器を分別することなくボールミルに装入するだけでよく、熱や水を使わないことから環境負荷の少ない回収技術として注目される。
 ボールミルの粉砕で希少金属成分が濃縮された1mm以下の粉末が生成され、後工程の浮選や溶解などの処理にかけ易い希少金属を粉鉱状態で得ることができる。
 また、残った非粉化物もプラスチック、アルミ、銅を含む基板がそれぞれ板状で残るため、以降のプロセスでの選別も容易になる。
  ボールミルは、回転ドラムの中にボール(球)と被粉砕物を入れ、ボールの働きで物を粉砕・混合する装置。粉末の製造などに広く使われているが、同機構はこれまでの常識を破り、粉砕限界を超える大きな処理物を挿入することで、逆に、粉砕されにくいプラスチック、アルミなどの構造材分を残しつつ、接合部やセラミックス、メッキなどの部分を優先的に離脱させることに成功した。
 使用済製品から希少金属を回収するこれまでの方法は、先ず解体・選別を行ってから粉砕などの処理にかけるというのがほとんどで、人手をかけずに解体・選別を行う新手法の開発が望まれていた。
 同機構は、企業と共同で実用化の研究を進めたいとしている。

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