(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国土交通省国土地理院は1月16日、同機構が約2年前に打ち上げ、現在運用中の陸域観測技術衛星「だいち」の観測画像の高さ方向の精度不足などの問題について、「ソフトなどで対応、解決の見通しを得た」と宇宙開発委員会に報告した。
「だいち」は、立体視センサーなど3つの観測機器で昨年12月までに合計約180万シーンの地表画像を得ている。これらの画像は、新しい大型建造物の出現や港湾形状の変化といった年月の経過で生じた地図上での変化の発見や確認に168シーンが活用され、これで地形図52面を修正、うち3面を地形図として刊行した。
しかし、これまでの段階で、[1]2万5千分の1地形図の品質上必要な高さ方向の精度は5mなのに「だいち」画像の精度は昨年12月中旬までは6mだったこと、[2]地形図を修正するため、「だいち」画像を拡大して目視判読する際、一部の画像がギザギザ状になるノイズが現れたり、色の濃淡が不十分で、道路や建物の境界部分が不明確になり、修正作業に支障が生じる―のが課題になっていた。
今回の報告は、これら課題の対応策を報告したものである。[1]の高さ方向の精度不足に対しては、3次元計測が容易になる地上座標と衛星画像の位置合わせソフトをJAXAが国土地理院に提供、昨年末までに技術的検証を済ませ、地上基準点を使用することで5mの精度が達成出来ることを確認。これで高さ方向の精度不足問題は、解決の見通しとなった。
「だいち」衛星データ伝送のため、データ圧縮することで生じる[2]の問題については、国土地理院が新規に開発したノイズ軽減ソフトを今年3月末までにJAXA地上システムに提供、色の濃淡については判読性を含めた画質評価を今年3月までに行うことにしている。
JAXAと国土地理院は、このように画像問題解決の見通しを得たことから、「だいち」画像の地形図修正への利用を拡大する方針にしている。
No.2008-2
2008年1月14日~2008年1月20日