筑波大学と(株)カネボウ化粧品は1月16日、共同研究により、新方式の光干渉断層計(OCT)を用い、皮膚を傷つけずに内部のコラーゲン構造の状態を観察し3次元で画像化すると同時に、定量的に評価することに成功したと発表した。
筑波大が新たに開発した「偏向感受性スペクトラルドメインOCT(PS-SD-OCT)」は、通常のOCTと異なり、検査をする生体試料に弱い光を当てるだけで、試料を損傷することなく内部における複屈折分布を可視化できることを特徴としている。
共同研究グループは、このPS-SD-OCTを用いてコラーゲンの複屈折性を3次元画像にすることに初めて成功した。
コラーゲンは、眞皮の7割を占めるタンパク質で、この構造によって弾力性が生れる。これまでコラーゲン線維の変性がどのように皮膚のシワにかかわっているのかは殆ど分かっていなかった。研究グループは、シワとその内部のコラーゲン構造の関係を、PS-SD-OCTにより眞皮複屈折性解析で調べた。
その結果、眞皮上層の複屈折性が大きいほどシワの体積が小さいという関係があることが分かった。また、高齢者のシワにおいては、眞皮上層の変性(コラーゲン構造状態変化)がシワの生成を促進している可能性のあることを初めて計測的に示すことができた。この成果は、今後の化粧品開発やその有用成分の開発に大きく役立つものと期待されている。
この研究成果は、5月7日に京都で開催される国際研究皮膚科学会などで発表される。
No.2008-2
2008年1月14日~2008年1月20日