日本の森林土壌は、欧米より地球温暖化緩和機能が高い
:森林総合研究所

 (独)森林総合研究所は12月20日、日本の森林土壌は、欧米と比較して温室効果ガスであるメタンの吸収(分解)量が単位面積当たり約2倍、亜酸化窒素(N20)の放出量は同じく半分以下で、地球温暖化緩和機能が高いと考えられる、とする調査結果を発表した。
 この調査で同研究所は、国内26カ所の代表的な森林土壌を選び、「農林水産研究高度化事業」で開発されたメタンと亜酸化窒素の計測手法を用い、都道府県の森林・林業関係研究機関、大学などとの共同観測ネットワークで測定・解析した。
 メタンや亜酸化窒素は、二酸化炭素(CO2)放出に次いで、地球温暖化に影響を及ぼす温室効果ガスである。一般に森林土壌がメタンを吸収、亜酸化窒素を放出することは知られているが日本では測定例が少なく、日本の森林土壌によるメタン吸収や亜酸化窒素放出の全体像はこれまで不明だった。そこで今回、メタン吸収量と亜酸化窒素放出量を現地で測定した。その結果、日本の森林土壌全体で1年間に1ha当たり6.9kgのメタンが吸収され、同0.2kgの亜酸化窒素が放出されると推定されることが分った。
 これに対して欧米では、発表されている約30篇の文献の単純平均は、メタン吸収量が1年間に1ha当たり3.8kg、亜酸化窒素排出量が同1.2kgで、メタン吸収量は日本が約2倍大きい。このことから、日本の森林土壌の方が地球温暖化緩和機能が高いと見ている。
 このメタン吸収量と亜酸化窒素放出量の推定値を共に二酸化炭素量に換算すると、メタン吸収量は347万tの二酸化炭素吸収量に、また亜酸化窒素排出量は159万tの二酸化炭素排出量に相当し、差し引き188万tの二酸化炭素を日本の森林土壌が吸収している計算になる。

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