世界最速の「生体断層装置」を開発:筑波大学/光コム

 筑波大学と東京工業大学発ベン千ャー企業の(株)光コムは17日、従来の5~10倍の計測速度を実現した世界最速の「生体断層装置(OCT=光コヒーレンス・トモグラフィー装置)」を開発したと発表した。
 光コムが開発した電気的に制御可能な高精度の光共振器(FPEOM=フアブリ・ペロー電気光学変調器)を使って筑波大が高速のOCTに仕上げた。
  OCTは、光を使って表面から数㎜程度の深さまでを調べる装置。眼底検査などに利用されてきたが、従来は機械的走査だった。それに対し、電気的走査のできるFPEOMを2台使い、5倍~10倍の計測速度を実現した。1秒間に最大3,000万ヵ所(従来装置では同28,000ヵ所)のデータがとれ、3次元断層像の全データを1秒程度、限られた領域のみの画像データなら0.06秒程度の極めて短い計測時間で取得できる。
 また、レーザーの特性を補正する複雑な数値処理を行わなくても、およそ12µm(マイクロメートル、1µmは100万分の1m)程度の分解能で人間の表皮内の汗腺などを鮮明に観測することができたという。
 将来的には、この装置を利用することで3次元の生体動態断層像の撮影も可能になると筑波大では見ており、[1]循環器科臨床における動脈硬化の低侵襲検査(動脈内沈着物の危険度診断)、[2]消化器癌の低侵襲検査(癌の進行を組織サンプルの採取なしで診断する)、[3]皮下血管網の動態検査―などに利用できるものと期待されている。
 価格的にも量産時には、市販のOCTと同程度になる見込み。