「スピン注入トルク」の直接測定に成功
:産業技術総合研究所/大阪大学

 (独)産業技術総合研究所は11月26日、大阪大学と共同でキヤノンアネルバ㈱の協力を得て、次世代のMRAM(磁気抵抗随時書き込み読み出しメモリー)として注目されている「スピンRAM(スピン注入磁化反転書き込み型のMRAM)」の大きな課題だった情報書き込みを司る「スピン注入トルク」を直接測定する手法を確立したと発表した。
  スピンRAMは、流す電流の電子のスピン(自転)で生ずる回転力(スピン注入トルク)で記憶層の磁石の向きを変える(磁化反転)ことで情報の書き込みを行う方式の記憶素子。
 現行のMRAMは、磁界で記録層の磁石の向きを変える方式なため、大容量化に伴って消費電力が急増する問題があるのに対し、スピンRAMには原理的にこの問題がなく、ギガ(10億)ビット級の記憶容量を持つメモリーも可能と見られている。
 しかし、スピンRAMのスピン注入トルクを直接測る測定法がこれまでは無かった。今回、研究チームは、2年前に同チームが発表したスピン注入トルクを直流電圧に変換する「スピントルクダイオード効果」を用いて計測する手法を生み出した。スピン注入トルクの大きさが測れるようになったことで、その物理的メカニズムの理解が進み、より大きなスピン注入トルクを発生する新材料の開発などにつながるものと期待される。

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