(独)宇宙航空研究開発機構は11月28日、高度約100kmの月観測軌道をまわる月周回衛星「かぐや」の初期機能確認の一環として、2台の地形カメラを使って月面の立体視動画を作成することに成功したと発表、その画像を公開した。 人間は、2つの目で見た像を脳の中で合成して立体像(立体視画像)を得ている。「かぐや」搭載の地形カメラは、2つの目の役を2台のカメラに担わせ、立体視画像を得るという仕組み。 地形カメラによる撮影は、月の表面が昼間となるタイミングで、衛星の進行方向の斜め前方下と、斜め後方下の月面に向けた2台のカメラで行い、10mという非常に高い空間分解能による立体視動画の作成に成功した。 今回公開したのは、11月3日に月面裏側の東経240度を北緯60度から66度近辺にわたって撮影し作成した立体視動画像で、月の極域を含む地域について10mという高分解能の立体視動画像を作成し公開したのは世界でも初めて。 画像からは、月面の地形や凹凸の様子が約10m四方の細かさで分かり、これまでの探査で見つかっていなかった小さなクレーターが多数あることも分かった。 地形カメラの高解像度での立体視動画像は、月に特徴的な地形がどのようにできたのかを明らかにする重要なデータとなる。また、クレーター分布の調査によって、月面の様々な地域がいつできたのかなどを、これまで以上の確かさをもって推定できるようになる。
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月面の立体視動画から切り出した静止画の一枚。クレーターが鮮明に写っている(提供:宇宙航空研究開発機構) |
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