住んでいる地域の身近な気象が分かるパソコンソフトを開発
:農業・食品産業技術総合研究機構/筑波大学/みずほ情報総研

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構は9月27日、同機構、筑波大学、みずほ情報総研(株)で構成する気候緩和研究グループが、身近な気象を簡単に知ることができるパソコン用ソフト「気候緩和評価モデル」を開発したと発表した。
 このソフトをパソコンで使用すれば、住んでいる地域の気象を250mごとの細かさ(精度)で知ることができるほか、水田や畑地が消失した場合の気象への影響の推定やヒートアイランド現象(都市部の気温がその周辺より高温になる現象)の研究などに利用できる。
 また、市街地よりも農地の気温が低くなることを「気候緩和効果(機能)」というが、その定量的評価にも役立つ。
 新しいパソコンソフトは、平成16年度から18年度までの3年間行われた研究の成果で、モデル計算の例として、熊本市郊外の水田地帯を大規模に都市化した場合の気象変化の予想や、筑波研究学園都市(茨城)の都市化に伴うヒートアイランド現象の影響などを取り上げている。  
 また、野外観測の結果では、夏の晴天日に水田の気温は市街地などよりも1~3ºCも低かった。水田付近の気温が市街地よりも低いのは、地面に到達する太陽エネルギーの約80%が水の蒸発に使われるからで、そのときに水田の周囲の熱が奪われる。
 気候緩和研究グループでは、このモデルを多くの人に使ってもらうために、ハードディスクへの複写による試験配布(無償)をしている。入手方法の問い合わせは、同機構中央農業総合研究センター農業気象災害研究チ-ム(TEL 029-838-8514)へ。

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開発したパソコンソフトを使って描いたつくば市周辺部の夏の晴天日(2004年8月2日正午)の気温分布図(提供:農業・食品産業技術総合研究機構)