全自動で連続成膜できるスパッタコーティングシステムを開発
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は5日、各種の成膜条件を正確に制御でき、複数のサンプルの成膜プロセスを自動化した新コーティングシステムを開発したと発表した。「コンビナトリアル・スパッタコーティングシステム」と呼び、14枚のサンプルを全自動で連続成膜でき、最高性能のコーティング膜を作製するための最適コーティング条件の決定が、従来システムの10倍以上のスピードで効率よく行える。
  スパッタコーティングは、ミクロン(1ミクロンは100万分の1m)オーダーの厚さのコーティング膜が得られることや、成膜条件によりコーティング特性を変化させられることから、産業界で広く用いられているが、コーティング条件の制御が難しく、コーティング特性の再現性や必要とするコーティング特性の最適化に膨大な時間がかかる問題があった。
  新システムでは、複数のサンプル基板を一度に真空チャンバー内に導入して同じ条件に保ってコーティングの結晶性、結晶配向性の再現性を良くし、さらに各々のサンプルについて7つの成膜条件をあらかじめレシピ表に登録しておき、それらをコンピューター制御で設定して14枚のサンプルを全自動でコーティングする。
  成膜中は、オペレーターが不要になり、毎回、正確な成膜実験条件でサンプル作製が行える。再現性のよいコーティングが可能なので、従来数週間かかっていた実験期間を2、3日に短縮できるという。
 このシステムは、共同研究企業の大和機器工業(株)から今年秋に販売される予定。

詳しくはこちら

新開発の「コンビナトリアル・スパッタコーティングシステム」の外観(提供:物質・材料研究機構)