バインダー無しでセラミックスを成形
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は12月5日、ノリの働きをするバインダー(結合剤)の代わりにマイクロ波を使ってセラミックスを成形するバインダー不要のセラミックス成形技術を開発したと発表した。周波数2.45ギガ(1ギガは10億)ヘルツのマイクロ波を約15分間照射するだけで粒子同士が強く結合したセラミックス成形体が作製できる。
 有機化合物のバインダーを使わないので、成形した後の焼成工程で出る二酸化炭素の排出量が減り、それだけ環境負荷低減が期待出来る。
 従来のセラミックス成形法では、原料重量の約10~15%のアクリル樹脂などの有機高分子をバインダーとして添加して、成形体の形を保っていた。産総研の研究グループは、試料にマイクロ波を照射すると成形体中の水分とセラミックス粒子表面の反応(水和反応)が促進され、表面水和物の生成過程を制御出来ることを発見。この技術を用いて粒子間の接触面に水和物または水酸化物を生成させ、粒子同士を互いに強く結び付けるのに成功した。
 バインダーを使わずに従来法で作ったアルミナ(酸化アルミニウム)の成形体は、水の中に入れると形が崩れて崩壊してしまうが、新技術で作った成形体は水中に30日間放置しても形が崩れなかった。
 産総研では今後、技術の汎用性・取り扱い簡便性の向上、コスト低減などの検討を進める。

新技術で作ったアルミナ成形体を水の中に入れ30日放置した後の状態。成形時の形状が保たれている