瓦礫の中に進入して人の声捉えるロボットを開発
―地震災害の被災者発見に威力
:東北大学/国際レスキューシステム研究機構/筑波大学ほか(2016年6月1日発表)

 内閣府が取り組んでいる革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の研究グループは6月1日、大地震により倒壊した建物の瓦礫の中に閉じ込められた被災者の声を聞き取るロボットシステムの開発に成功したと発表した。

 倒壊した建物の内部に取り残された被災者の発見と救出では、被災者の発する助けを求める声が重要な手がかりになる。

 しかし、その声は、災害現場から出る様々な騒音にかき消され、瓦礫の外から聞き取ることが大変難しい。

 瓦礫内に進入して被災者を見つける装置としては、「能動スコープカメラ」と呼ばれるヘビ型のロボットが使われているが、ロボットから出る音がノイズとなって瓦礫内の声を聞き取る大きな障害となっており、その改善が求められている。

 今回の研究は、東北大学など5つの大学と、国立情報学研究所などの研究者が協力してヘビ型ロボット「能動スコープカメラ」に搭載可能な音声抽出・強調技術を開発、瓦礫の奥深くにいる被災者が出す声が聞き取れるシステムを作製した。

 ヘビ型ロボット「能動スコープカメラ」は、瓦礫の中に生じている数cmの隙間をぬって進入し深さ数mまで探査できる性能を持っているが、これに多数のマイクロホンを一定間隔で配置し多数のマイクロホンを瓦礫内に分布させる構造にして被災者の音声を多数の位置で取得できるようにした。

 研究グループは、熊本地震の被災木造家屋の内部を模擬した試験評価用瓦礫を製作して実証試験を行っているが、これまでより飛躍的に高い聞き取り性能を確認することができたといっている。

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