柔らかくて硬くなりにくいパンが作れる
―小麦のデンプン特性を解明して実現
:農研機構/日本製粉(2016年5月27日発表)

 農研機構と日本製粉(株)中央研究所は5月27日、共同で柔らかく、3日経っても硬くなりにくいパンを作ることが可能な小麦のデンプン特性を解明したと発表した。

 デンプンを構成する成分のアミロースとアミロペクチンの比率や構造が通常と異なる小麦の研究を共同で行った結果得られた成果。現在、東北地方に適した栽培特性を持つ系統の品種登録を進めており、併せて北海道や西日本に適した品種の育成に入っている。

 デンプンは、ブドウ糖が直鎖状に結合した分子量が数千から数十万のアミロースと、ブドウ糖が樹枝状に結びついたアミロペクチンからできており、両方の比率は20~30%対70~80%とされている。

 国産小麦の需要を喚起し、収益性の高い小麦作りを実現するには、付加価値の高い製品を開発できる小麦が不可欠。そのため農研機構の東北農業研究センターは、小麦に含まれるデンプンがパンやうどんなどの食感に密接に関係していることに注目し、デンプンの組成などが通常とは異なる小麦の開発に取り組んできた。

 その結果、新しいタイプのデンプンを持った小麦を見つけ、アミロースの含量を通常タイプの小麦の24%より6%少ない18%にし、アミロペクチン分子の外側の鎖を短くすると、通常の小麦のパンと比べ①焼いた翌日の硬さが半分以下、②3日経っても通常型の焼いた翌日の硬さ以下、にできることをつかんだ。

 硬くなるのを防止するための資材を使用しないシンプルな配合でもパンが硬くなるのを改善できることを示したわけで、「国産小麦の需要拡大に寄与できる品種の育成などにつながる」と農研機構はいっている。

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