無人気球で世界最高高度53.7kmを記録
:宇宙航空研究開発機構

北海道で気球を上げる様子(提供:JAXA)

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月20日、北海道・大樹町(たいきちょう)から同日上げた無人気球が高度53.7kmに達し、無人気球到達高度の世界記録を更新したと発表した。
 これまでの世界記録は、2002年5月に当時の文部科学省宇宙科学研究所が達成した53.0kmで、それを11年4カ月ぶりに破ったことになる。
 今回の無人気球は、新たに開発した厚さが僅か2.8μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)の世界で最も薄い気球用フィルム(ポリエチレン製)を使って作ったもので、「超薄膜高高度気球」という。
 実験は、大樹町にあるJAXAと同町の連携協力拠点「大樹航空宇宙実験場」で行なわれ、気球に浮力を与えるヘリウムガスを充填し、直径60mの大きさにまで膨らませて午前5時22分に放球した。
 気球は、毎分約250mの速度で上昇を続け、放球から2時間42分後に同実験場の東南東約130kmの太平洋上で世界新記録の高度53.7kmに達した。最高高度に達した後は、地上からの指令で気球を破壊し、太平洋に緩降下させた。
 JAXAは、無人気球を観測ロケットに代わる飛翔体と位置付け、高度50~60km周辺の大気の「その場観測」に今後使っていきたいとしている。

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