（独）農業・食品産業技術総合研究機構は4月16日、国内のトラクター製造企業5社と共同で、乗用型トラクターの転落転倒事故を未然に防止する装置の開発を進めていると発表した。
　乗用型トラクターからの運転者の転落転倒死亡事故は、農機死亡事故の中で最も多く、約3割を占めている。その発生原因の一つになっているのがブレーキ。この種のトラクターには、左右の後輪に別々にブレーキがかけられるように、ブレーキが二つ付いている。左右のブレーキペダルが連結していない状態で片方だけのペダルを踏むと急ブレーキがかかり、ハンドル操作をしなくても思わぬ急旋回が生じて転落転倒の重大死傷事故につながるため、その対応策が求められている。
　同機構は、（株）IHIシバウラ、井関農機（株）、（株）クボタ、三菱農機（株）、ヤンマー（株）の5社と開発を進めている。これまでは、移動のときだけ連結させていたブレーキだが、逆に普段は常に左右のブレーキを連結させていて、耕うん作業の旋回時など片ブレーキ操作が必要なときに運転者が簡単な操作でブレーキ連結を解除するようにする新方式を開発しているもので、実用性の高い装置の完成を目指している。
　同機構は、「平成26年度以降に各参画企業から発表される新車に順次搭載して、大きなトラクターから小さなトラクターまで展開していきたいと考えている」としている。

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