米粒を長く重くする遺伝子を発見
―収量増や品質向上など新品種開発に期待
:農業生物資源研究所/東洋大学/京都大学

 (独)農業生物資源研究所は4月15日、東洋大学、京都大学と共同でインドや東南アジアで栽培されるインディカ種のイネから、米の粒を細長く重くする遺伝子を見つけたと発表した。日本で栽培される粒が丸く粘り気のあるジャポニカ種が持つ遺伝子の配列の一部が、その遺伝子には欠けていることも突き止めた。新たに見つけた遺伝子を利用することで、米の収量増や品質向上を実現する新品種の開発に役立つと期待される。

 

■夏場の高温障害の発生抑える

 

 遺伝子は「TGW6」と呼ばれ、「カサラス」と呼ばれるインディカ種のイネから見つけた。研究グループはその働きを調べるため、日本でかつて盛んに栽培されたジャポニカ種「日本晴」で染色体の同じ場所にある遺伝子を特定し、DNA(デオキシリボ核酸)配列の相互比較を試みた。
 その結果、カサラスでは日本晴の遺伝子が持っているDNA配列の一部が欠けていて、ある種のタンパク質を合成できないことがわかった。さらに、そのタンパク質の働きを調べたところ、「オーキシン」という植物ホルモンの合成にかかわる酵素であることを突き止めた。
 そこで、交配によってカサラスのTGW6遺伝子をジャポニカ種のコシヒカリと日本晴の同じ遺伝子領域に導入し、どのような影響が表れるかを調べた。その結果、TGW6遺伝子を導入したコシヒカリは、通常のコシヒカリと比べて米粒の長さが6%、粒の重さが7%増加。その一方で、単位面積当たりの籾の数など米の収量は変化しなかった。

カサラスTGW6遺伝子による高温障害の回避。コシヒカリTGW6導入系統では、障害が減り、正常粒は大幅増となった(提供:農業生物資源研究所)

 さらに、米の粒が長くなったり、重くなったりするのに植物ホルモン「オーキシン」がどのように関係しているのかなどのメカニズムも解明できたという。

 また、気温が高すぎて正常な籾(もみ)ができない高温障害にも強くなることも分かった。平成22年の夏に起きた高温障害では、コシヒカリの正常粒比率は60%以下に低下した。一方、TGW6遺伝子導入系統では、正常粒比率が1.5倍の約90%になり、障害粒比率は減少していた。
 研究グループは、TGW6遺伝子が「米粒の大きさだけでなくデンプンの蓄積量を高める機能も持っており、今後の品種改良に広く利用できる」と期待している。

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