(独)産業技術総合研究所は4月12日、北海道大学触媒化学研究センターと協力して、白金触媒の低温での一酸化炭素酸化活性を大きく向上させる触媒調整技術を開発したと発表した。作られた触媒は、マイナス80℃でも一酸化炭素を酸化できるほどで、低温でも高い活性を持つことから、触媒用として高価な白金の使用量削減への貢献が期待される。
白金は、自動車の排ガス浄化や固体高分子型燃料電池の電極劣化防止のための一酸化炭素除去用など、さまざまな触媒用途に使われる。しかし、高価な上に資源としても偏在しているため、供給リスクが懸念され、需要の大半を占める触媒での使用量削減が望まれている。だが、十分な触媒性能を得るには多量の白金が必要なので、使用量を減らすには白金触媒の性能向上が求められることになる。
今回の開発では、触媒として働く白金の機能を補って反応を助ける助触媒として酸化鉄を混ぜる調整段階で、水を作用させて白金を酸化鉄近くに移動させ、触媒反応に有効な白金と酸化鉄との界面を作り出した。このように調整した白金触媒は、貴金属の量が少ないのに、マイナス40℃での貴金属量当たりの反応速度は、市販の触媒に対してほぼ2ケタ、金触媒に対しても1ケタ以上高い値を示した。
これは、白金と酸化鉄の界面で、鉄の酸化還元に伴って酸素が白金に供給され、表面に吸着した一酸化炭素の酸化反応が効率良く進むからと考えられている。実際、この触媒の一酸化炭素活性試験では、マイナス40℃から100℃までの広い温度範囲に100%近い一酸化炭素反応率を見せるが、市販の白金触媒では100℃以上でないと一酸化炭素反応率の向上が見られず、金触媒も0℃以下では一酸化炭素反応率は低い。
産総研としては、さらなる性能向上と実用化に向けて触媒活性の発現機構解明を進めながら、今回開発の触媒調整技術の適用範囲拡大を目指すという。
No.2012-15
2012年4月9日~2012年4月15日



