レンガで建てた実大建物試験体の破壊実験を公開
:防災科学技術研究所/三重大学/建築研究所

(独)防災科学技術研究所は12月27日、パキスタンの山間部の建物と同じ工法、同じレンガで建てた実大建物試験体の破壊実験をつくば市(茨城)の同研究所で報道陣や一般に公開した。
 この実験は、同研究所が三重大学、(独)建築研究所と共同で、国の科学技術振興調整費による「アジア科学技術協力の戦略的推進」プログラムの一環として行ったもの。パキスタン産のレンガで造った縦・横・高さが3mの実大建物試験体を振動台の上に乗せ、2003年暮れにイランのバム市周辺を襲った地震で記録されたのと同じ波形(震度6強相当)の揺れを与え、建物試験体が崩れるまで加振を繰り返した。実験は、繰り返し約10秒の間振動を加える方式で行われたが、5回目の加振で全壊した。
 発展途上国では、レンガ造りの家屋が多く、大地震の度に倒壊したレンガの下敷きになって多くの人命が失われている。「イラン・バム地震」では、バム市街のレンガ造り建物の大多数が倒壊、死者は約4万人にものぼった。
 今回の実験は、実大スケールのレンガ造り試験体が加振時にどのような挙動を示すかを把握して安全限界の評価法を検討するのが目的で、インドネシア、パキスタン、ネパール、トルコの大学・研究機関の研究者も参加した。
 今後さらに研究を進め、レンガ造り建物の耐震性向上のための技術資料を対象国に提供していくことにしている。

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全壊したレンガ造り実大建物試験体(提供:防災科学技術研究所)