(独)宇宙航空研究開発機構は6月4日、同機構の三陸大気球観測所(岩手・三陸町)から大気球(容積10万m³)を放球、成層圏大気のサンプリングに成功したと発表した。6月中旬までの本年度第1次気球実験の一環として行ったもので、同時に今年出発する第49次南極観測隊が昭和基地で行う成層圏大気採取実験の予備実験として、新たに開発した小型クライオサンプラーの総合性能評価も実施した。
同日午前6時に放球された大気球は、飛行中に高度14.5~34.6kmまでの11の高度で成層圏大気の大量採取に成功した。大気球は、放球4時間10分後に観測所東方100km付近から水平浮遊状態に入った。その後、徐々に高度を下げ、唐丹(とうに)湾沖東方30kmに達した午後1時30分、指令電波で観測機器を切り離した。観測器は釜石沖東方35kmの海上にパラシュートで降下、回収された。
採取された大気試料は今後、東北大、東京工大、名古屋大、東大、北大で各種温室効果気体や化学的活性気体の濃度と同位体比について高精度分析が行われ、それらの高度分布と経年変化が調べられる。
No.2007-22
2007年6月4日~2007年6月10日