(国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月27日、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」からフィリピン共和国の初の衛星「DIWATA-1(ディワタワン)」の放出に成功した、と発表した。同衛星は高度約400kmの軌道を周回しながら、搭載した魚眼カメラ、地上解像度3mの望遠鏡など、倍率の異なる4種類の撮影装置で台風や集中豪雨など観測して災害減少に役立てる。
「DIWATA-1」は縦55cm、横35cm、高さ55cm、重さ約50kgの直方体で、「ISS」に滞在する宇宙飛行士が「きぼう」の放出装置にセットし、JAXA筑波宇宙センターの指示でバネで宇宙空間に放出した。これまで「きぼう」では一辺10cm角ほどの衛星を放出したことはあるが、それより一辺が長くて重い衛星の放出は今度が初めてである。なお、「DIWATA(ディワタ)」とはフィリピン公用語の一つであるタガログ語で”妖精”を意味する。
フィリピン初の人工衛星である同衛星はフィリピン科学技術省、フィリピン大学ディリマン校と日本の東北大、北海道大が協力、約1年かけて共同開発した。開発資金は全てフィリピンが負担、フィリピンから日本の東北/北海道両大学に留学したフィリピン大の大学院生や技術者9人が製作に加わった。