(国)産業技術総合研究所・機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センターは4月11日、アモルファス材料などに見られるバラバラな原子の並びを数理的に表記する手法を開発した。隣り合った原子の中間点を結んで作るボロノイ多面体と呼ばれる図形に置き換えて、原子配列を表すもので、人が直感的に理解しやすくなると同時に、コンピューターによる処理も可能になる。独創的な手法は、材料設計だけでなく、幅広い社会科学的な場面にも応用が可能と期待している。
ボロノイ多面体を構成するボロノイ図は、乱雑に並んだ複数の隣接点の中間を結んで作る三角形や四角形などを指す。例えば立体の三角柱は、ある手順でこの三角形と長方形をくみ上げて作るため、その順番から「34443」と数字の列で表現できる。これは多面体の設計図ともなる。
アモルファス材料は、このボロノイ多面体がビッシリと埋め尽くされたモデルとして考えられる。すると多面体の形や多面体の並びのパターンが、すべて数字の列で表すことができる。
これまで余りにも複雑、不規則で、とりつく島もなかったアモルファス材料も、多角形の組み合わせで構成されているとみることによって、ある規則性が浮かび上がる。それを数列として表現する理論を考え出した。
今回は多面体を構成できる数列の中から、必要な情報を削除して、短くわかりやすい数列として表現した。今後は、この理論を活用し、アモルファス材料と数列モデルとの相関を調べ、合理的な設計法の開発につなげる。

アモルファス材料の構造(左)と開発した数理的手法での表現方法(右)