
内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられた「S-520」型ロケット29号機(提供:JAXA)
(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月17日、同機構の内之浦宇宙空間観測所(鹿児島・肝付町)から同日、小型の「S-520」型ロケットを打ち上げ、「スポラティックE層」と呼ばれる高空のプラズマ領域を観測する実験に成功したと発表した。
■空間構造やプラズマ密度変動など解明目指す
スポラティックE層は、高度70kmから130kmの高空のプラズマ密度が局所的に高い領域。今回の実験は、この領域の観測により、空間構造やプラズマ密度変動の生成メカニズムを解明することが狙い。
実験では、打ち上げから55秒後にロケット先端のノーズコーンが開き、搭載したプラズマ測定用プローブ(電極)が測定を開始し、上昇時の高度97kmと下降時の同100kmに目的のスポラティックE層が存在していることを観測した。
JAXAは、これから今回観測したデータの解析に取り組み、スポラティックE層の空間構造などの詳細を明らかにしたいとしている。
観測に使ったS-520型ロケットは、全長8m、重さ2.1tの一段式固体燃料ロケットで、高度約300kmに到達する能力を持っている。1980年に1号機を打ち上げて以来これまでに28機が各種の観測用に使われ、今回打ち上げたのが29号機。
今回のS-520型ロケット29号機の打ち上げで、JAXAの「平成26年度第一次観測ロケット実験」は終了した。