シカによる牧草被害を“見える化”、対策導入判断を手助け
:畜産草地研究所(2014年7月7日発表)

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の畜産草地研究所は7月7日、野生のシカ(ニホンジカ)による牧草被害を“見える化”し、対策の導入について支援する方法を開発したと発表した。

 中山間地域にある公共牧場などの牧草地では、野生のシカによる牧草の食害が多発して問題になっている。しかし、シカによる食害の具体的被害量などは、牧草地の面積が広いことなどもあって、ほとんど把握されていない状況にあるといわれる。

 農研機構が開発した方法は、そのシカによる牧草被害を簡便かつ定量的に評価できるようにしたもの。4月から11月にかけての牧草の生育期間中、3ha(ヘクタール、1haは1万㎡)程度ごとに、シカによる食害を防ぐ小型の簡易なケージ(檻)を牧草地全体に10個程度設置し、それぞれのケージの内外の草高を計測。その草高を専用のシート(用紙)に入力すると、自動的に被害率が算出され、面積や立地など牧草地に関するデータを入力すると被害額が出るという仕組み。

 さらに、対策として電気柵などの資材を導入した場合の費用と被害額と比較して、被害額が対策費を上回るかどうかを基準に、対策資材を導入すべきかどうかの判断を手助けする。

 同研究所は、「今後、公共牧場関係者などを対象に講習会などを開催して技術の普及を図っていく」としている。

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