わが国初、新しい手法で心房細動の手術に成功
:筑波大学(2014年7月11日発表)

 筑波大学は7月11日、同大学附属病院の青沼和隆教授らのグループが不整脈の一種である心房細動を新しい手法で手術することに成功したと発表した。

 心房は、心臓にある4つの部屋の内の上部に位置する2つの部屋。心房細動は、その心房が突然に無秩序な痙攣(けいれん)を起こし、心房全体が細かく震える不整脈のこと。今回の手術は、初期の心房細動の70歳の男性に対して7月1日に行われ、術後の経過も良く3日後に退院した。

 心房細動の療法としては、高周波エネルギーを使う「高周波アブレーション」という手術法が普及しつつある。しかし、熟練した手術者を必要とし、手術に時間がかかるという難点がある。

 今回の手術法は、「経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼(しょうしゃく)術」と呼ばれ、国内で使われたのはこれが初めてだが、欧米では短時間で確実に心房細動治療が行えるとして8年前から実施されている。カテーテルという細い管を大腿静脈などから患部に挿入し、先端部に付いているバルーン(風船)を心房内で膨らませて肺静脈を閉塞したうえで、マイナス80℃前後というバルーンカテーテルからの低温で異常細胞を凍結破壊する「冷凍アブレーション」という処置を加え、わずか3~4分で心房細動治療の基本である肺静脈隔離を終える仕組み。

 同大学では、「手術時間が従来術式の3分の2程度に短縮された。将来的には2分の1程度にまでなるものと期待される」といっている。

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経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼の方法(提供:筑波大学)