大型降雨実験施設を改良、ゲリラ豪雨も再現
―1時間雨量を200mmから300mmに、雨滴も大きく
:防災科学技術研究所(2014年6月12日発表)

 (独)防災科学技術研究所は6月12日、つくば市(茨城)の同研究所内にある「大型降雨実験施設」を改良し、近年発生件数が増えているゲリラ豪雨を再現できる実験施設にしたと発表した。

 

■世界最大規模の降雨システム

 

 同施設は、72m×44m、面積にして3,000㎡を超す広い範囲にわたり散水機で人工の雨を降らせ、実物大に近い模型を使って降雨に起因する災害を研究することが可能な世界最大規模の降雨実験システム。1時間に15mmから最大200mmまでの人工雨を降らせて山崩れ、土石流、土壌侵食、洪水などの実験を行うことができ、1973年から運用している。

 上空に入った冷たい空気と、上昇した地表付近の湿った空気が混ざることで積乱雲が生じ、局地的に強い雨が短時間降る―。これがゲリラ豪雨発生のメカニズムで、気象庁の「アメダス」(地域気象観測システム)の観測では10分間で50mm、1時間で300mm相当の雨量が記録され、そのような局地豪雨にどう備えるかが防災面で大きな課題となっている。

 そのゲリラ豪雨を大型降雨実験施設で再現するため降雨システムの改良工事を行ったもので、1時間当たりの降雨の強さをこれまでの200mmから300mmに増強すると同時に、雨滴の最大径を2.2mm程度から8mm程度に拡大、雨滴の大きさや分布、落下速度の計測などが行えるようにした。

 同研究所では、この改良した大型降雨実験施設で、大雨洪水注意報発令の基準になっている1時間25mmの降雨量から、今までに日本で記録された10分間雨量の最大値である50mm(1時間で300mmに相当)まで段階を分けて再現し、降雨強度、雨滴の大きさと分布、落下速度などを計測するとしている。

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