(独)森林総合研究所は11月17日、人里へのツキノワグマ出没多発の予測に役立つ研究成果を発表した。
今年は、全国24府県でツキノワグマによる農林業への被害や人的被害が多く、10月末現在で約3000頭のクマが有害獣として捕獲されている。森林総研では、ツキノワグマによる被害を受けている23府県25地域における1993~2004年のツキノワグマの捕獲数(約1万頭)の年次変動を解析したところ、長野・富山両県を境にして「東日本タイプ」と「西日本タイプ」に分けることができた。さらに東日本では、北東北、南東北、関東甲信越地方で、西日本では、北陸と兵庫を含む中国地方で、類似性が高いことが分かった。
こうした傾向は、クマの主な餌であるブナの実やドングリなど堅果類(けんかるい)の豊作と凶作の年変動が大きく、また変動が県をまたがる広い地域で同調して起こっているため、堅果類が少ない年にクマが広い地域で人里へ頻繁に出没するのではないかと推察されている。
この研究成果をもとに、全国各地で始まった堅果類の実の豊凶の調査とクマの出没データをあわせて解析することにより、クマが人里に出没しやすい年やその地域が予測でき、効果的なクマ被害防止対策の検討が可能になるとみられている。
No.2006-2
2006年11月13日~2006年11月19日