「YS-11」退役機を次期国産旅客機開発に活用
:宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月13日、次期国産旅客機研究開発などのため、今年9月で国内航空路線から引退した国産旅客機「YS-11」1機を日本航空㈱から譲り受けると発表した。JAXAは、この機体を旅客機の構造設計や安全性の技術開発に向けた構造疲労データの蓄積、開発中の次期国産旅客機への複合材料適用に向けた研究などに活用する。
 譲渡される機体は、旧登録番号「JA8788号機」で、「おが」の愛称で今年5月の最終運航日まで国内路線を飛んでいた。昭和48年の就航以来、33年間の総飛行時間は約57.000時間。同機は11月14日、JAXAの航空宇宙技術研究センター調布飛行場分室(東京都三鷹市)に搬入され、翌日、報道陣に公開された。
 JAXAは、YS-11機の開発では昭和36年から強度試験など各種の試験を実施、その結果は実機に反映されてきた。今回、実際に長時間飛行している退役機体の運航履歴や整備・修理記録を調べることで、実機の経年劣化、損傷の実態など、開発時の想定との比較が可能になり、我が国初の航空機ライフサイクルに関するデータベース作成が可能になるとJAXAは期待している。

退役した「YS-11」型機