柑橘栽培用のソーラーポンプシステムを開発
:農業・食品産業技術総合研究機構(2015年8月10日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構は8月10日、傾斜地での柑橘(かんきつ)栽培用のソーラーポンプシステムを開発、その設計、設置、管理法のマニュアルをホームページで公開したと発表した。

 ミカンなどの柑橘類の多くは、傾斜地の斜面で栽培されている。新システムは、その傾斜地栽培に必要な水を太陽光発電で得た電力で揚水するというもの。

 傾斜地栽培では、根や土に与える水の確保が課題になる。水源があっても平地から斜面の上までポンプアップする電源が近くにないなどで、揚水ができず、トラックで水を運んでいるところもあるといわれる。

 新システムは、小規模な太陽光発電システムと小型ポンプを組み合わせ、斜面の高い位置に設置したタンクに揚水し、自然圧力で斜面のすみずみまで水を供給する仕組み。

 傾斜地のウンシュウミカン園では、プラスチックのシートで地面を覆って雨を防ぎ、根にゆっくりと水を与える点滴かんがいを行って高品質な柑橘を生産する「マルドリ方式」と呼ばれる栽培が増えているが、新システムを使えば「マルドリ方式栽培を、容易に安く導入することができる」と同研究機構はいっている。

 新システムは、ほとんど市販製品で構成できることから、ユーザーの手で組み立て可能で、機能やコストにユーザーの意向を自由に反映できる。

 設置にかかる費用は、「揚水量1日平均800ℓ、揚水高さ40m、揚水管長さ150mの装置で30万円程度」(同研究機構)という。

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システムの機器構成(提供:(国)農業・食品産業技術総合研究機構)