農用トラクターと作業機との通信制御を共通化
―メーカーを問わず接続可能な電子機器類を開発
:農業・食品産業技術総合研究機構/クボタなど農機メーカー15社ほか

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は2月24日、農業用のトラクターとそれに接続される多種多様な作業機(農業機械)間の通信制御の共通化を行う電子機器類を開発したと発表した。このような情報通信は、これまで同一メーカーの製品間に限られ、メーカーが異なると行うことができないでいた。今回開発された電子機器類は、それを搭載すればメーカーを問わず「簡単に接続できる」(農研機構)ようになる。同機構と(株)クボタ、ヤンマー(株)、井関農機(株)など国内の農業機械メーカー15社、(一社)日本農業機械工業会、北海道立総合研究機構が連携して開発した。

 

■機械経費の削減、高精度農作業が期待

 

 農作業では、動力・走行源のトラクターと、施肥・播種・散布などを行う作業機の間で情報通信が行われ、トラクターの通信制御で作業機が作動している。
 しかし、トラクターと作業機は、メーカー間で通信制御方式が異なるため、農家はトラクターと作業機一式を同一メーカーで揃えなければならず、作業機メーカーは異なる様々な通信制御方式に対応するのに多大な労力とコストをかけている。
 農研機構は、この問題を解決するため、①通信制御方式を共通化した基板、コネクターなどのハードウエア、②後付け型のトラクター用ECU(電子制御ユニット)、③作業機用のECU、④リモートコントローラー、を開発し、トラクターと多種多様な作業機をメーカー、機種を問わず簡単に接続できるようにした。
 農業機械の通信制御方式の共通化技術の開発は、欧米が先行し、既に国際標準規格「ISO(国際標準化機構)11783」が制定されている。このため、日本でもその内容の検討が行われたが、①通信仕様が複雑で、対応するハードウエア・ソフトウエアの開発が困難、②接続コネクター・配線が大きく高価で、国産の小型農業機械には不向き、との評価結果が出ている。
 今回開発された電子機器類は、「トラクターと作業機の互換性を高めて、機械経費の節減を図るとともに、施肥量の自動制御や薬剤の散布密度の均一化など精度の高い農作業による高品質な農産物の生産が図れる」(農研機構)としており、平成26年度からの市販が予定されている。

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