画像や音楽の好き嫌い、人工知能が嗜好度を予測
―事前のマーケティング調査などに威力期待
:筑波大学/大阪大学など(2016年2月23日発表)

 筑波大学は2月23日、大阪大学などと共同でどのような画像や映像、音楽がより多くの人に好まれるかを判断しランキングする人工知能技術を開発したと発表した。「よく売れるトマトはどんな形?」「この新人タレントは多くの人たちに広く受け入れられるか?」といった消費者の嗜好を予測するのにも利用でき、事前のマーケティング調査などに役立つと期待している。

 

■農業分野などでの応用も

 

 開発した技術では、事前に例えば複数の画像を人に見せて、その画像について「好き」か「嫌い」かの2値情報で直感的に答えてもらう。多くの人の回答から「見た目」の嗜好ランキングを作成する。人工知能は新たに評価したい画像をこのビッグデータの画像と見比べて類似度を計算、点数を算出する。それに基づいて評価画像がビッグデータの中でどの位置にあるのか、順位を予測する。順位が上位にあれば、その時の市場の嗜好にマッチいていることが分かるという仕組みだ。映像や音楽でも同様のことができる。

 ビッグデータに含まれる調査時期や調査対象者の国籍・年齢などの属性と合わせることで嗜好の変遷や国別のデータなども得られ、きめ細かいマーケティング調査をすることもできる。また、嗜好を定義することが難しい商品に対し、「売れる」「売れない」の判別をコンピューターが自動計算するシステムに応用することも可能だという。

 共同研究にあたったアプリケーションソフトなどの開発会社BIJIN&Co.は、今回の成果を応用してスマートフォン向けに「美人とは?」を解き明かすためのアプリ「美人科学研究所」のダウンロードサービスを開始した。ユーザーが自分の美人度ランキングを知るのに利用してもらいながら、美人に対する嗜好のビッグデータ作りに協力してもらう。

 今回の成果について、筑波大の山際伸一准教授らは「例えばよく売れるトマトの見た目はどのようなものかといった農業分野などにも広く応用できる」と言っている。

詳しくはこちら

図

2値入力値からランキングを作り、マーケティング予測する仕組み(提供:筑波大学)