10分間の軽い運動でも認知機能の向上に効果
―脳神経活動をモニターして解明
:筑波大学/中央大学(2014年5月27日発表)

 筑波大学と中央大学の共同研究チームは5月27日、わずか10分間の軽い運動にも認知機能を高める効果があることを科学的に確認したと発表した。ヨガや太極拳程度の運動を生活に取り入れると生活の質の向上や認知症予防につながることが期待できるという。

 

■認知症予防の期待も

 

 脳の活動や疾病などと運動との関係を調べている同チームは今回、健康な若年者を対象に、息がほとんど弾まない、運動していても楽だと感じる程度の軽い低強度の運動の効果を調べた。

 被験者を軽い運動をする人と安静状態に置いた人の2グループに分け、代表的な認知機能テストである「ストループテスト」を課し、運動の効果を評価した。被験者には脳内部の活動をモニターできる装置を装着してもらいデータを取得し、差異を見た。

 その結果、10分間の軽運動でも注意・集中、判断、計画・行動に関係している、いわゆる実行機能(認知機能)の課題成績が向上すること、課題成績の向上は、覚醒度の増加と左半球の前頭前野背外側部、前頭極の活性化と関係していることを確認した。これらのことから、低強度の運動は課題遂行に必要な脳部位同士のネットワークを一過的に高め、実行機能を向上させるうえで効果があると考えられるという。

 中強度運動だけではなく、低強度の運動にも認知機能を高める効果があることをつかんだのはこれが初めてで、今後は認知症予備軍ともいえる軽度認知症高齢者らを対象に効果を確認したいとしている。

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図

左は、運動条件と安静条件でいた場合の、運動・安静前のストループテスト中に、ストループ干渉による脳活動に変化が見られた部位。右は、運動または安静の前後でストループ干渉による脳活動変化を統計的に処理した結果、有意な変化が見られた部位(提供:筑波大学)