静止衛星「きく8号」、大型アンテナの展開に成功:
宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構は12月26日、「H-ⅡA」ロケットで同月18日に同機構の種子島宇宙センター(鹿児島)から打ち上げた世界最大級の静止衛星「きく8号」の受信用大型アンテナを高度約3万6,000kmの宇宙空間で開くことに成功したと発表した。
 展開したアンテナの大きさは、縦19m、横17m。人工衛星が搭載するアンテナとしては世界最大級。「きく8号」は、このサイズの送・受信用アンテナ各1枚を搭載、送信用アンテナの展開は既に25日に終えており、これで難関を無事乗り越えたことになる。
 「きく8号」は、携帯電話などの移動体通信をもっと便利にするための技術試験衛星で、重さは約3t。赤道上空3万6,000kmのこの衛星と地上の小型携帯端末とを直接結ぶ通信実験を行う。
 2枚の大型アンテナを展開した状態の端から端までの長さは、40mにもなる。この巨大アンテナは、細い金属の糸を編んで作ったもので、非常に軽いことから将来の大型宇宙構造物に広く使えると同機構では見ている。

静止軌道上の「きく8号」の想像図。鳥が羽を広げたように左右に伸びているのが送信用と受信用の両アンテナ(提供・宇宙航空研究開発機構)