(独)国立科学博物館の筑波実験植物園は10月26日、光合成する植物と光合成しない植物の雑種の開花に世界で初めて成功したと発表した。 咲いたのはラン科の植物で、光合成を行う「スルガラン」と、光合成を行わない「マヤラン」の雑種。平成18年8月に交配し、栄養のある寒天の培地にタネをまいて培養、6年がかりで開花にこぎつけることができた。 植物は一般的に葉で光合成を行い、生きていくための栄養を作る。ところが、共生する菌から栄養をもらう仕組みを発達させて、光合成をせずに葉をつくらなくなった種類がランなどにまれにあるという。このマヤランは、根も葉も持たず光合成はできない。地下茎を延ばして共生する菌類から栄養と水をもらっている。 マヤランの共生菌は、ベニタケ科、イボタケ科、シロキクラゲ科などきのこの仲間。マヤランは、常緑樹林内の落ち葉が積み重なり腐食したような湿ったところに生育、日本では、関東から四国、九州、沖縄になどに分布している。神戸近郊の麻耶山で初めて見つかったことからマヤランの名が着いた。 同植物園では、開花した雑種ランが今後、正常な葉をつけて光合成を行うかどうかは、まだ分からないという。植物の進化や生理の研究材料としての利用が期待されるとしている。
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世界で初めて開花した光合成する植物と光合成しない植物の雑種。高さ10cm(提供:筑波実験植物園) |
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