磁気記録密度を飛躍的に高める鉄・白金系垂直磁化膜の作製に成功
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は8月2日、平均粒径をnm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)サイズの微粒子状にした鉄と白金の合金を均一なサイズで分散させた高保持力の垂直磁化膜の作製に成功したと発表した。
 現在の垂直磁気記録方式のHDD(ハードディスクドライブ)の記録密度は、1平方インチ当たり1テラ(1兆)ビット程度が限界と考えられている。そこで、その壁を破り磁気記録の性能をさらに飛躍的に上げるため「熱アシスト磁気記録」と呼ばれる新しい磁気記録方式へ移行する研究開発が進められ、熱アシスト磁気記録の記録媒体として鉄と白金の合金で、原子が規則的に配列された規則合金が最適と考えられている。規則合金とは、2種類以上の元素を混ぜた合金で、結晶格子(結晶の立体的な配列構造)中のある特定位置に特定元素が配置される合金をいう。
 しかし、鉄・白金系規則合金を使って熱アシスト媒体に適したナノ粒子分散垂直磁化膜を作製することは、これまでできなかった。
 同機構は、長年にわたって鉄と白金系の合金を使い垂直磁気記録媒体にしたナノ粒子薄膜構造を実現する研究を行ってきた。
 今回の研究では、シリコン基板上に酸化マグネシウム層を成膜し、その上に銀を添加した鉄・白金系合金を炭素と同時に成膜するという技術を用いて、平均粒径6.1nmで、熱アシスト磁気記録に適したナノ構造を持つナノ粒子分散垂直磁化膜の作製に成功した。
 このナノ粒子分散垂直磁化膜を使って、熱アシスト磁気記録ヘッドの開発を進めている(株)日立グローバルストレージテクノロジ―ズで記録試験を行った。その結果、現在使われているHDDの垂直磁気記録方式の記録密度の最高値と同等で、熱アシスト磁気記録方式としてはこれまでの最高の1平方インチ当たり450ギガビット(1ギガビットは10億ビット)の記録密度を達成した。
 今回の研究により、次世代の超高密度磁気記録方式と考えられている熱アシスト方式に適合する媒体の実用化への道筋が示されたことになる。この研究成果は、8月16~18日に米国のサンディゴ市で開催された「第21回磁気記録国際会議」で発表した。

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