(独)農業・食品産業技術総合研究機構の作物研究所は7月28日、ふっくらとした味の良い玄米粉パンが得られる簡易製造法を開発したと発表した。
玄米は、糠(ぬか)を取る精米を行う前の米で、精米した白米より食物繊維やイノシトールなどの機能性成分を多く含む。しかし、白くてふわふわ、中はもっちりの白米粉パンが人気化しているのに対し、玄米粉を用いたパンは、膨らみが悪い、味が劣るといった問題を抱え、これまで製造例がほとんどなかった。
新製造法は、玄米を12時間以上水に漬け吸水させた後、「気流粉砕」という空気の高速渦流で玄米同士を衝突させ粉末化する装置で損傷デンプンの少ない粒度の細かい玄米粉を作製。それに市販の小麦グルテンを20%加え水で練って焼くというもので、膨らみがあって味の良い玄米粉パンを実現した。現在、特許出願中(特願2010-152025)。
玄米の吸水時間が長いほどパンにした時の膨らみが良く、白米粉パンと同等以上の味・食感だとする評価を食味試験で得ているという。
成分的にも、食物繊維、イノシトール、フェルラル酸(ポリフェノールの一種)などの機能性成分の含量が白米粉パンの3~5倍と多いほか、白米粉パンにないギャバ(神経伝達物質)が100g当たり5mg含まれる。
水分、タンパク質、エネルギーなどは、白米粉パンと同程度であることを確認している。
No.2011-30
2011年7月25日~2011年7月31日