ビタミンD生成に要する日光浴の時間を算出
―冬の札幌では76分、つくばの3.5倍近くに
:国立環境研究所/東京家政大学

 (独)国立環境研究所と東京家政大学の研究チームは8月29日、健康な生活を送るのに必要な成人の1日のビタミンD摂取量をすべて体内で生成するとした場合に必要な日光浴の時間を推定したと発表した。札幌、つくば、那覇の3地点を対象に、両手と顔を晴天日の太陽光に露出していると仮定して算出したところ、紫外線の弱い12月の正午では、那覇で8分、つくばでは22分で必要量が生成、緯度の高い札幌では76分と、つくばの3.5倍近い時間を要するという。紫外線を浴びすぎるとシミやしわ、皮膚がんの原因となるため、日光浴を避ける風潮があるが、特に冬季の北日本などでは食物からのビタミンD摂取に加え、積極的な日光浴が推奨されるとしている。

 

■北日本では積極的な日光浴必要

 

 ビタミンDは、骨の生育に必須な血中のカルシウム濃度を高めたり免疫作用を高めたりする作用があり、不足すると骨へのカルシウム沈着障害が生じ、頭蓋ろう、くる病、骨粗しょう症などになりやすい。魚やキノコなどに比較的多く含まれているほか、太陽の紫外線を浴びることで皮膚の中で生成する。
 研究チームは成人1日のビタミンD摂取量の目安とされる5.5μg(マイクログラム、1μgは100万分の1g)をすべて日光照射により体内で生成させるとした場合に必要な日光照射時間(ビタミンD生成紫外線照射時間)を、SMARTS2という放射伝達モデルを用いて求めた。
 計算したのは3市における7月と12月の晴天日の9時、12時、15時における必要時間。
 それによると、例えば7月の晴天日の12時の場合には、那覇で2.9分、つくばで3.5分、札幌では4.6分で生成、12月15時の場合には那覇で17分、つくばで271.3分、札幌では2741.7分要するという結果を得た。
 これらの値は、皮膚に紅斑を起こす最小の紫外線量(1MED)に達するまでの時間の数分の1であることから、適度な日光浴によるビタミンD補給が勧められるとしている。

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