E-ディフェンス使い世界最大規模の建物振動実験
―高さ25m超、18階建て鉄骨造りを倒壊まで揺らす
:防災科学技術研究所/京都大学/鹿島建設ほか

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上は実験に使う高さ18mの鉄骨建築物。下は実験の模式図(提供:防災科学技術研究所)

 (独)防災科学技術研究所は11月15日、京都大学、鹿島建設(株)などと共同で、高さが25mを超す18階(層)建ての鉄骨でできた試験体を倒れるまで揺らす世界最大規模の振動台実験を、12月10日から11日にかけ同研究所の兵庫耐震工学研究センター(兵庫・三木市)の「E-ディフェンス(実大三次元震動破壊実験施設)」を使って行なうと発表した。

 

■「三連動地震」の震動の1.7倍~3倍の揺れも

 

 この大規模振動台実験は、文部科学省からの委託研究「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト―都市機能の維持・回復に関する調査研究」の一環として行うもので、京大、鹿島建設のほか、(株)小堀鐸二研究所、(株)大林組、清水建設(株)、大成建設(株)、(株)竹中工務店が参加する。
 2011年に発生した「東北地方太平洋沖地震」は、国内観測史上最大規模のマグニチュード(M)9.0を記録して未曾有の大被害をもたらしたが、それを上回る恐れがあるのではと心配されているのが九州・四国沖から伊豆半島沖にまで達する長大な太平洋の海底溝(トラフ)「南海トラフ」で南海地震、東南海地震、東海地震が同時に起きる「南海トラフ三連動地震」。
 今回の実験は、E-ディフェンスの振動台上に18階建て鉄骨造り建物の3分の1の大きさの高さが25.3m、縦と横が5mと6m、重量が約420tという巨大な試験体を設置して、その心配される「南海トラフ三連動地震」で想定される揺れと、さらにはそれを上回る揺れを加えて、都市の基盤をなす高層ビルが崩壊するまでの余裕度を実測しようと実施するもの。
 実験では、加速度計、振動計などからなる新開発の「健全度即時評価モニタリングシステム」を使い徐々に進行する建物の破壊を的確に検知する一方、想定される「南海トラフ三連動地震」の震動の1.7倍から最大3倍の揺れを加え、倒れるまでの崩壊余裕度を計測するとしている。

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