優れたはつ油性示す新透明塗膜を開発
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は3月13日、油を良くハジクはつ油性に優れた新しい透明塗膜を開発したと発表した。
 ガラス、樹脂、金属など様々な材料の表面に簡単な処理でこの透明塗膜をつけることができ、パイプのような曲面にもコーティングできる。
 現在、材料表面をはつ油性にするはつ油処理は、フッ素樹脂に代表される有機フッ素化合物をコーティングする方法で行われている。
 しかし、有機フッ素化合物の製造に必要な蛍石(ほたるいし)は、資源的に偏在しているため、産出国の貿易統制などで価格が変動しやすく、供給が不安定という問題を抱えている。
 さらに、有機フッ素化合物の人体や環境への影響が懸念され、規制が厳しくなってきている。
 新はつ油性透明塗膜は、はっ水処理剤として知られるシラン(ケイ素と水素の化合物)の一種「アルキルトリアルコキシシラン」と、ガラスの原料「テトラアルコキシシラン」とを混合し、触媒と有機溶媒を加えて塗液を調整、この塗液を材料表面に塗装して常温で乾燥すると目的のはつ油性膜が得られるというもの。得られる膜厚は、1μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)程度。処理に特殊な装置などは、一切いらない。
 同研究所は、タッチパネルディスプレーや窓ガラスの油汚れ(指紋付着)防止、繊維への油汚れしみ込み防止、建物内配管や化学プラントなどの流体搬送動力の低減、などへの利用を目指したいとしている。

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