「ハドロン実験施設」の放射性物質漏えい事故の原因を発表
:J-PARCセンター

 高エネルギー加速器研究機構と(独)日本原子力研究開発機構が共同で運営するJ-PARCセンター(茨城・東海村)は11月11日、今年の5月23日に同センターの「ハドロン実験施設(原子核素粒子実験施設)」で発生した放射性物質漏えい事故の原因が判明したと発表した。
 この事故は、ハドロン実験施設で使われている金の標的(金標的)が極めて高い温度になって一部が溶融して大気中に流出、標的中に生成されていた放射性物質が飛散したもので、ハドロン実験施設に繋がるシンクロトロン(円形加速器の一種)の電磁石(四極電磁石)の誤動作が原因だったという。
 本来は、2秒間かけてゆっくりとシンクロトロンから取り出されるはずの陽子ビームが誤動作によって約5ミリ秒の短時間で瞬時に取り出されてしまい、金標的がそのビームの照射で極めて高い温度となって一部が溶融したとみている。
 J-PARCセンターは、事故の後、電磁石電源が突然誤動作した原因を電磁石の製作メーカーと協力して調査してきた。その結果、2009年から使ってきた電磁石の電源基板の経年劣化が進んだために今回の誤動作が発生したと結論、「今後は電源基板の構成を改め、今回のような経年劣化を生じない電源基板に交換する」といっている。

詳しくはこちら