9割の人が「気候変動を実感」
―日本人のライフスタイル調査発表
:国立環境研究所

 (独)国立環境研究所は11月14日、環境問題や省エネ活動、気候変動について日本人がどうみているかを調べた世論調査の結果を発表した。温暖化の進行など気候変動については約90%の人が起きていると感じ、60%以上が省エネへの取り組みに前向きなことが明らかになった。再稼働を巡って議論が続く原子力発電所については、約80%が事故の心配をしている現状が浮き彫りになった。発表したのは「日本人のライフスタイルに関する世論調査」。今年2月に無作為に選んだ全国3000人の成人男女を対象に聞き取り調査を実施、有効回答1121人の調査結果をまとめた。

 

■9割が放射性物質による将来への影響心配

 

 まず、「地球上の気候が変わってきていると思うか」については、90.6%の人が「そう思う」と回答。さらにその原因について聞いたところ、75.2%の人が「一部」または「おおかた」は人間の活動に原因があるとした。
 気候変動の影響について3つまで挙げてもらったところ、「ヒートアイランド現象が起きやすくなる」(51.2%)、「生物多様性の減少」(39.9%)、「猛暑など今までより極端な気候が起きる」(34.5%)、「熱帯地方の病気が日本でも発生するようになる」(24.7%)、「海面上昇」(23.9%)などの回答が目立った。将来世代への健康影響についても「大きい」(55.8%)、「やや」(38.9%)と、9割以上の人が影響を心配していることが明らかになった。
 こうした意識を背景に、省エネなど環境を守る取り組みに対する積極姿勢が目立った。東日本大震災による原発停止で節電が大きな課題となったが、今後の節電について昨年、一昨年と比較して「それ以上は十分できる」(12.2%)、「同じ程度はできる」(49.6%)と、60%以上の人が節約意識を持っていた。
 環境問題など社会の出来事についいての情報源を3つまで挙げてもらったところ、テレビ(91.5%)と新聞(75%)が圧倒的に多く、ツイッタ―やフェイスブックなどインターネット関連は合計でも20%程度にとどまった。信頼できる情報源としては、「テレビ、新聞、雑誌などで発言するジャーナリスト・評論家」が、地球温暖化問題に関しては55%、原発や放射能汚染に関しては53%を占め、「大学や様々な研究機関の研究者・学者」は温暖化問題で26%、原発では27%、「国や国の外郭団体」は温暖化で24%、原発で22%だった。
 今も収束しない原発事故については、「とても心配」(37.1%)、「心配」(42.4%)と約80%の人が不安を抱いていた。原発事故に伴う放射性物質の拡散が与える将来世代への健康影響に対しても「大きい」(49.9%)、「やや」(39.5%)と90%近くの人が心配していることが分かった。

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表

節電への取り組み(上)、気候変動について(下)(提供:国立環境研究所)