北極海の海氷が観測史上最小に
―9月には初の400万k㎡割れも
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月25日、北極海を覆う海氷の面積が急ピッチで縮小し、8月24日現在でこれまで最小だった2007年を下回り、観測史上最小になったと発表した。
 JAXAが5月に打ち上げた第一期水循環変動観測衛星「しずく」の画像データなどから明らかになったもので、このままのペースで縮小が続けば、例年、年間最小時期になる9月中旬頃には、観測史上初めて400万k㎡を下回る可能性も出てきたとしている。
 北極域の気温が今年の3月は平年より低温だったため、海氷面積は一時的に1990年代並みに広がっていた。しかし、5月以降に気温が高めに推移したため縮小し始め、夏期に入ると最も海氷面積が減少した2007年並みのペースで縮小し始めた。
 通常は8月に入ると縮小速度が鈍り始めるが、今年は8月に入ってからも減少速度は増し、8月前半は1日当たり10万k㎡の海氷域が消失し続けた。20日に海氷面積は459万k㎡、24日には421万k㎡と、観測史上最小だった2007年9月24日の425万k㎡を1カ月も早く更新し、史上最小となった。JAXAの8月22日の見通しでは、9月入って史上最小になるとしていたが、それからわずか数日で史上最小を更新する縮小速度だった。
 今年の北極海は、昨年の夏以前からあった古くて厚い「多年氷」の一部が今年の冬から春にかけて大西洋に流れ出す一方、昨年夏以降にできた薄い「一年氷」が北極海の半分以上を覆っていたことが観測されている。このためJAXAは、「今春の海氷はかなり薄い状態になっていた」として、気温の上昇とともに海氷の融けるペースが上がったとみている。

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これまで観測史上最小だった2007年9月24日の北極の海氷域(上)と、最小を更新した8月24日の海氷域(提供:宇宙航空研究開発機構)