廃棄ブラウン管ガラス使い放射線遮蔽材を開発
:物質・材料研究機構/清水建設/R Japan

 (独)物質・材料研究機構は3月12日、同機構の研究成果「廃棄テレビブラウン管ガラスの放射線遮蔽効果」を活用して清水建設(株)など2社が新しい放射線遮蔽材を開発したと発表した。放射線を遮蔽する鉛の入ったブラウン管ガラスを破砕、セメントや高分子材料に混ぜて作った。汚染したガレキや土壌などの一時貯蔵施設、最終処分施設などのコンクリート材や防水材として使える。地上デジタル化で大量発生している廃棄ブラウン管の有効活用につながるという。
 同機構は昨年、ブラウン管ガラスが10数~25%の鉛を含んでおり、そのガラスを砕いた「カレット」と呼ばれる材料が放射線遮蔽に使えることを確認、遮蔽材料として実用化することを企業に呼びかけた。大手ゼネコンの清水建設と防水材などを販売する(株)R Japan(沖縄・宜野湾市)がこの提案を受けて、それぞれコンクリート材と防水材を開発した。
 新開発のコンクリート材は、通常のコンクリートに比べ厚さを約1割薄くしても同等の放射線遮蔽効果を持ち、従来のコンクリート材より軽量化できるという。厚さ50cmで放射線透過量は、従来のコンクリートの半分程度。強度は、通常のコンクリートと比べ同等以上。
 長期間での鉛の溶出も試験の結果、土壌汚染対策法の基準値以下に抑えられることが確認できた。
 高分子材料にカレットを混ぜて作った新しい防水材は、厚さ28.6cmのもので放射線の透過量を10分の1にできる。これも、防水効果の高い高分子中に埋め込まれているため、鉛が溶け出したりする心配はないという。
 新材料は、汚染廃棄物やガレキの格納容器などに利用できる。防水材は、柔らかいので、汚染ガレキや土壌にかぶせるシートなどへの利用も期待できると見ている。

詳しくはこちら