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つくばシステムでシラカバ花粉アレルゲンの大量生産に成功―花粉症アレルゲン免疫療法に利用可能:筑波大学

(2020年4月3日発表)

 筑波大学と福井大学の共同研究グループは4月3日、 シラカバ花粉症を引き起こすアレルゲンBet v 1を大量に生産することに成功し、精製されたBet v 1は、これまでのアレルゲンと同様の免疫反応を引き起こすことを確認したと発表した。

 花粉症は、体外から侵入してくる花粉に含まれるたんぱく質(アレルゲン)と、体内で作られるIgE抗体が結びつくことで、アレルギー症状が引き起こされることで生じる。一方で花粉症の治療法として、アレルゲン免疫療法が注目されている。これは、アレルゲンを少量ずつ患者に投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法で、長期にわたり症状を抑える可能性がある。これまで、この療法で使うアレルゲンを多量に作る方法がなかった。

 研究グループでは、以前から特定の遺伝子を組み込んだ土壌細菌アグロバクテリウムを、ベンサミアナタバコ等の植物に感染させ、目的のたんぱく質を発現させるシステム(つくばシステム)を開発していた。感染後、数日で一過的に大量のたんぱく質の生産が可能である。

 このシステムを応用して、シラカバの主要なアレルゲンBet v 1というたんぱく質を大量に生産する独自のシステムを開発した。Bet v 1を発現できるようなベクター(遺伝子を導入するための核酸分子)を設計し、つくばシステムを用いて、ベンサミアナタバコにアグロバクテリウムを感染させてBet v 1を発現させた。

 その結果、感染後5日目に、ベンサミアナタバコ1gあたり、約1.2mgのBet v 1が発現していた。これは従来に比べて6倍の発現量であり、大量のアレルゲン生産に成功したといえる。生産されたBet v 1を精製し、IgE抗体との反応性を調べたところ、シラカバ花粉症患者IgE抗体によって認識されることが明らかになり、本システムによって、シラカバ花粉症の免疫治療に利用可能なBet v 1を大量に作成することに成功したことが示された。

 今回Bet v 1を大量に産生する方法が構築できたことで、本システムはBet v 1と同じPR10ファミリーに属するアレルゲン生産にも応用できると期待される。これらのアレルゲンの効率的な生産によって、アレルゲン免疫療法の発展が期待される。