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世界のCO排出量―2019年は前年比約0.6%増へ:国立環境研究所ほか

(2019年12月4日発表)

 (国)国立環境研究所など4機関は12月4日、地球温暖化の最大の原因とされる二酸化炭素(CO2)の2019年排出量が世界全体で前年比約0.6%増加する見込みであると発表した。国際研究計画「グローバルカーボンプロジェクト(GCP)」による試算を受けて明らかにしたもので、世界全体の年間削減目標達成には至っていないという。

 GCPによる試算は、化石燃料の燃焼や土地利用の変化などについて過去10年間の平均データをもとに実施した。その結果、CO2排出量の対前年比増加率が2017年の1.5%、2018年の2.1%に比べてやや低下するとの結果が得られたという。

 今回の試算で2019年の増加率が低下するとの結果が出た背景には、①欧州連合(EU)と米国の石炭使用量が大幅に低下、②中国の経済成長と電力需要の伸びの低下、③インドの水害の影響と経済成長の低下、④世界的な経済成長の低下があるとみられる。

 試算結果を出したGCPは2001年に発足した国際研究計画で、持続可能な社会の実現を目指す国際協働研究「フューチャー・アース」のコアプロジェクトと位置付けられている。日本は国立環境研にGCPの第二事務所が置かれるなど、その活動に大きな役割を果たしている。