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ベータ・グルカンの多い健康志向のもち麦新品種「きはだもち」を開発―栽培しやすく、食感良好、血糖値を抑え、コレステロールを適正化する:農業・食品産業技術総合研究機構

(2019年11月11日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構の次世代作物開発研究センターは11月11日、もち性大麦(もち麦)の新品種「きはだもち」を開発し、千葉県と栃木県で栽培を始めたと発表した。血糖値を上げにくく、コレステロールを適正化し、内臓脂肪を減らすという健康機能性の高い「ベータ・グルカン」を多く含むのが特徴。食感が優れていることから、国産もち麦の生産拡大につながると期待されている。

 もち米と同じように、大麦にももち性大麦(もち麦)がある。一般的なうるち性大麦に比べて、炊飯すると柔らかくて粘りがあり、食感が優れている。そのうえベータ・グルカンがうるち麦の1.5倍も多い。日本で昔から栽培されてはいたものの、知名度が低く国内の作付けも一部地域に限られていた。

 ところが数年前にメタボリックシンドローム(内臓脂肪が増え、生活習慣病や血管の病気になりやすい状態)の改善効果がテレビなどで紹介されて以来、もち麦がブームになり2016年より消費量が急増した。現在は需要量の9割を外国からの輸入でまかなっている。

 関東地域では二条大麦「キラリモチ」が作付けされている。精麦の品質が優れ、炊飯後も変色しにくい利点があるものの、収量が少なく穀粒が収穫前に穂に付いたまま発芽してしまう穂発芽しやすい欠点があった。

 そこで次世代作物開発センターが関東から東海地域にかけて、「キラリモチ」の欠点を克服し、栽培しやすいもち麦の育成を目指してきた。

 ベータ・グルカン含有の多いもち性「アズール」に、多収で栽培性が優れるもち性の「東山皮101号」(シルキースノウ)を2回交配した組み合わせによって新たな「きはだもち」を開発した。

 主な特徴は、穂発芽の危険性がなく、赤かび病などに強く、倒伏しにくい。もち麦品種の中でもベーターカロテン含有量が高く、食感も良好だという。

 国産もち麦の生産拡大につながると共に、もち麦を活用した町興しや地域の活性化に役立つと期待されている。