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食味や炊き上がりの外観などに優れた新品種「つきあかり」デビュー:農業・食品産業技術総合研究機構

(2016年8月4日発表)

(国)農業・食品産業技術総合研究機構中央農業研究センターは8月4日、銘柄米「コシヒカリ」より早く収穫ができて、炊き上がりの見た目や食味に優れた新品種「つきあかり」を開発したと発表した。収穫時期がほぼ同じ「あきたこまち」より10%程度収穫量が多い。ご飯に炊いた時の外観が、艶やかで輝くように見えることから命名された。数年後には、新しい銘柄米が市場に出回ると見られる。

  農業法人の大型化などに対応して、水稲の移植時期や収穫時期を広く分散できる品種が望まれている。生産コストの低減を見込み、多収で、外食、中食の需要も満足させられる品種が求められるようになった。

 「つきあかりは」は、宮崎県の在来品種「かばしこ」を母に、極良食味品種「北陸200号(みずほの輝き)」を父としたF1に、多収の「北陸208号」を交配して育成した。

 新潟県上越市での出穂時期は「コシヒカリ」より1週間早く、成熟期は「あきたこまち」とほぼ同じ。耐倒伏性はやや強く、玄米収量は「あきたこまち」に比べ8〜9%多い。

 食味評価と、炊飯後4時間保温した場合の評価では、「コシヒカリ」と同等以上の評価になっている。

 ただ縞葉枯病、白葉枯病に弱いのが難点で、過剰な施肥は倒伏や食味の低下を招く心配がある。数年後には北陸地域を中心に、数百ha(ヘクタール、1haは1万㎡)の栽培が見込まれており、もう一つの銘柄米が食卓をにぎわすことになりそうだ。