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農業用ポンプ設備の突発的な故障停止を防ぐ―初のリアルタイム遠方監視システムを開発:農業・食品産業技術総合研究機構ほか

(2018年11月30日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構は1130日、トライボテックス(株)、(株)クボタと共同で農業用ポンプ設備の異常な兆候を検出・通知する初のリアルタイム遠方監視システムを開発したと発表した。

 農業用ポンプ設備は、農地や地域の用水と排水を行なう設備のこと。大規模なものの中には農業だけでなく住宅地を含む地域全体を洪水被害から守って暮らしを下支えしている施設が少なくない。

 そうしたことから、突発的に故障停止が発生して大きなトラブルになることがないようポンプの劣化状態を絶えず診断して異常兆候が現れたらそれをリアルタイムに伝えてくれる遠方監視システムが求められてきた。

 開発したのは、運転中のポンプの潤滑油を常時分析・評価するという方法で、故障停止の前に生じる全ての異常兆候を逃さず捉えてリアルタイムに遠方の携帯端末に通知することができる。

 システムは、ポンプと計測装置、状態監視サーバと呼ばれるコンピューターで構成されていて、ポンプの回転部と計測装置本体とを連結して、計測装置内に潤滑油を引き込み循環させながら潤滑油の酸化劣化と水分混入の程度、油中の金属摩耗粒子を計測、それらの計測データを状態監視サーバに送るという仕組み。

 あらかじめ設定した管理基準値を超える異常データを検知するとそのアラート(警報)が離れた場所にいるポンプ管理者の持っているスマートフォンなどに自動通知され、その情報に応じて次の対応をとることができる。

 このシステムは、どのメーカーのポンプにも設置可能で、新設ポンプへの導入はもとより既に設置されているポンプにも軽微な改造で追加できるという。

 農研機構は、今年度内に1,000万円程度の価格で発売される予定になっているといっている。