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岐阜で検出した豚コレラウイルス―海外から侵入した可能性:農業・食品産業技術総合研究機構

(2018年9月14日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構は914日、岐阜県で9月に豚への感染が確認された豚コレラウイルスが海外から侵入した可能性が高いと発表した。ウイルスの遺伝子を解析した結果、これまで日本では検出されたことがなく、欧州やアジアで検出されているタイプであることが分かった。今後、ウイルスの感染性や病原性などを詳しく解析していく。

 豚コレラは伝染力の強い豚コレラウイルスが感染することによって発症する豚とイノシシの病気で、致死率が高く法定伝染病に指定されている。岐阜県では今年99日に豚への感染が確認されていた。

 農研機構は感染ブタから豚コレラウイルスを検出、その遺伝子配列を詳しく解析した。豚コレラウイルスは遺伝子の特定領域の配列によって「ジェノタイプ」と呼ばれる3つのグループに分けられるが、今回解析したウイルスはこのうちジェノタイプ2の中のさらに小グループの「サブジェノタイプ2.1」に属することが分かった。

 国内で使用されるワクチン株を含む多くのワクチン株は、ジェノタイプ1のグループに属している。一方で今回確認されたウイルスは、サブジェノタイプ2.1に属しており、①これまで日本で検出されていない、②欧州やアジアで検出されている、ことから、海外から侵入した可能性が高いと農研機構は結論付けた。