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原子サイズで働く“未知の力”探索―4次元以上の空間の存在検証へ:高エネルギー加速器研究機構ほか

(2018年3月23日発表)

 高エネルギー加速器研究機構(KEK)、九州大学などの研究グループは323日、原子サイズの極めて短い距離で働く“未知の力”を探索したと発表した。物質の間に働く力には万有引力や電磁力など4種類あることが知られているが、未知の力が見つかれば空間が縦横高さの3次元だけではなく、極微の世界では4次元以上である可能性を示す有力な証拠になると期待している。

 高エネ研の三島賢二特別准教授が九州大学、名古屋大学、大阪大学、米インディアナ大学と共同で実験を進めた。

 物質間に働く力には万有引力、電磁力のほか、原子核内で働く強い相互作用と弱い相互作用の4種類が知られており、身近な自然から遠い宇宙まであらゆる自然現象を支配している。しかし、0.1nm(ナノメートル、1nm10億分の1m)という原子サイズの世界では、空間が縦横高さの3次元ではなく4次元以上である可能性が理論的に示唆されており、そこでは物質間に未知の強い力が働くと予測されている。

 そこで三島准教授らは、茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設(J-PARC)で得られる世界最高強度の中性子線パルスを利用、高い感度で未知の力の存在を調べる実験を試みた。その結果、従来の実験に比べて未知の力の探索感度を1桁向上させることに成功したという。研究グループは今後、さらに探索感度の向上を目指して実験を続けていきたいとしている。