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水や光に強く低温成型可能なガラス開発―高輝度LED用部材に応用も:産業技術総合研究所

(2018年2月8日発表)

 (国)産業技術総合研究所は28日、通常のガラスに比べると低い温度である500℃程度で溶融し、型への流し込みで自由に成型できる低融点ガラスを石塚硝子(株)と共同で開発したと発表した。無色透明で水や熱、紫外光にも強いため、今後ますます耐熱性や耐光性が求められる高輝度LED用のレンズや透明封止剤など様々な光学材料への応用が期待できるとしている。

 開発した技術は、まず常温で流動性を示すリン酸と、ガラスの物性を制御するための種々の金属化合物を原料にしてガラスになる前の溶液「前駆体液」を調整、これを加熱することによって500℃程度で流動性を示すガラス融液を得る。これを型に流し込んで冷却すれば、ガラスが作製できるという技術だ。今回は特に、添加する金属化合物の組成やプロセスを改良したことで耐水性や耐光性、耐熱性を併せ持つガラスを実現した。

 一般に、リン酸を主成分とする「リン酸塩ガラス」は耐水性が劣るとされていたが、今回の開発では添加物の組成を改良したことで実用レベルの耐水性が実現できたという。約50℃の水に4時間浸した実験では、組成改良前のガラスは不透明になったが、改良後のガラスは透明度がほとんど変化しなかった。また、紫外光を700時間照射したり、200℃で1,000時間加熱したりした後の光の透過率変化を調べた実験でも、新開発のガラスでは透過率に変化は起きなかった。

 開発した低融点ガラスは約235℃に加熱するだけで軟らかくなり、成型加工も可能という。低温の溶融設備でも多様な形状のガラスが比較的容易に作れるため、「現在はエンジニアリングプラスチックが用いられている分野でも、将来的に優れた耐光性・耐熱性を持つガラスが活用される可能性が広がる」と産総研は期待している。